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8.トラブル対策3
『磁性を持つ』と『磁力を帯びる』の勘違い


10.トラブル対策5
全長が長過ぎる


9.トラブル対策4 M3ねじの難しさ

日本のホームセンターで、“ ねじ ” のコーナーに行くと、 M3えむさん サイズのは何処のホームセンターでも販売されているでしょう。  M3どころか、M2.5やM2だって売っています。  ですが、これは、日本では常識ですが、世界では非常識です。  世界のホームセンターでは、普通、最小のねじサイズはM4なのです。  M3をバンバン使うのは日本人だけです。

日本のねじ屋 ( M3以下も売っている )
海外のねじ屋 ( M4以上しか売っていない )

何故世界ではM3があまり使われないのかと言うと、M3の“ねじ”は、 人間が触れる場所で使用するだけの強度を持っていないからです。  これは、少し力学を勉強した事がある人が、強度計算をしてみれば直ぐに解る事です。  例えば、家電製品の中で使用されて、普段は人の手に触れないというのであれば、 M3だろうとM2だろうと、もっと小さな ねじでも使ってかまわないと思います。  しかし、M3以下の“ねじ”に人の肘などが当たれば、その人は少し痛い思いをするでしょうが、 “ねじ”は、直ぐにポキンと折れてしまいます。 

また、ねじには 標準締付ひょうじゅんしめつ けトルク ( 下の表参照 ) というものがあります。  この標準締付けトルクよりも小さい力で締めつければ、締付け力( 軸力じくりょく )が不足します。  また、締付け過ぎた場合は、ボルトが 塑性変形そせいへんけい しダメージを負ってしまいます。   一般的なM3の標準締付けトルクはJISで規定されていて、0.634Nmです。  これは、もの凄く小さな力です。 レンチでナットを締めるのであれば、レンチを持つ人間は小指1本で締める程度の力となります。  M3の “ ねじ ” をしっかりとドライバーで締付けると、 確実に標準締付けトルクを超えてしまいます。  (実は、筆者もしっかりと締付けるものだと長い間思っていました。) M3の “ ねじ ” を使いこなすのには、このように結構知識が必要です。
“ しっかり締めつけておけ ” と言う作業指示が、M3では正しくはない のです。

日本で “ M3ねじ ” の需要が異常に高いのは、 小さな “ ねじ ” を使っていた方が精密なイメージがあるから、 というだけなのかも知れません。  少なくとも、人間の力が作用するような場所において、 M3ねじを使用するのは、多くの場合が間違い であるはずです。



トラブル発生時の状況

クリンチング・ファスナーが突然折れたという話を聞く事があります。  そういった場合、ファスナ・メーカーは、 “これまで、こういった事は無かったので材質が変わったのではないか?” という疑いを掛けられる事になります。 

クリンチング・ファスナーや一般のねじ類は、バー ざい と言う長い棒状の 材料から、切り出されます。  もしも、異なった材料でクリンチング・ファスナーが生産されていれば、 硬度こうど の違うクリンチング・ファスナーが、まとめて生産される事になります。  クリンチング・ファスナーは、 熱処理ねつしょり の前後や出荷前に何重にも 硬度検査こうどけんさ を行いますので、 ここで発見されないという事は、まず考えられません。  おまけに、めっきだって、きちんとは乗らないはずです。  その上、普通は同一のロットが、他の多くの顧客にも販売されているので、 それらも同じように、折れてしまうはずで、 ファスナ・メーカーは、その対応でハチの巣をつついた様な大騒ぎになります。

M3以下の“ねじ”は、例え材質がステンレスであったとしても、
  ●人間の力が作用する
  ●締付け過ぎ
  ●振動
  ●水分(特に塩分や洗剤など)
これらは禁物です。  過去の、クリンチング・ファスナーが突然折れたという事件では、 例外なく、これらに原因があり、常に1つでは無く複数の原因が該当しています。  M3を使っておきながら、 これらの全部が該当したという参考になるケースもありましたので御紹介しましょう。 

ある日、顧客から電話が掛って来て、 開口一番、
“不具合が発生したから、原因を追及し詳細な報告書を持って、 お前達のスケジュールには関係なく、明日直ぐに飛んで来い”
というお話。  “まず、状況を把握してからでないと報告書は書けません” と、とりあえず申し上げて翌日参上すると、それはもう無茶苦茶な状況。  

ステンレス製のクリンチング・ファスナーのM3が、 風呂場で使う製品に組み込まれ、毎日、お湯と洗剤のシャワーを浴びていたそうです。  そして、バネによって振動を受けるだけでは無く、他の部品に人の足が当たると、 その力がモーメントにより何倍にも増幅されてファスナーに伝わる。
“ステンレスなのに、錆びて折れたのだからファスナーの不具合だ!”
“設計は間違っていない”
と言うお話でしたが、聞けばM3ねじの標準締付けトルクも御存知なかった。 

遠いところ、せっかく参上したので、丁寧に説明させて頂いて、
“何重にも渡る設計ミスですね。 ”
“言いにくいですが、少し常識を逸脱されています。”
“ファスナーの原因ではないので報告書は作成できません。”
と申し上げたのだそうです。  しかし、本来、知識と情報は無料ではありません。  こういった場合は、授業料と交通費を徴収する必要を感じますね。

クリンチング・ファスナー普及委員会   CF普及委員会にMailを送る