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44.設計者に知ってほしい板金の原価計算

46.クリンチング・ファスナーが破壊した場合

45.海外のクリンチング・ファスナー製品

このホームページでは、 歴史的な事情から、日本のクリンチング・ファスナーよりも 海外のクリンチング・ファスナーの方が、進んでいるという話をして来ました。  日本の技術者の方の中には、 そう言われて“何を根拠に?”と言われる方も多いと思います。

海外のクリンチング・ファスナーと圧入技術には、 どのような違いがあるのでしょうか?  筆者は、その根本的な違いは“圧入技術への意識と市場性の違い”にあると思います。  日本にはプレス技術神話のようなものがあって、 神様と呼ばれるような方がおられます。

しかし、クリンチング・ファスナー圧入技術は、 如何にプレスの神様でも、位置制御の一般的なプレスでは達成出来ません。  圧力制御が可能なインサーションマシンがどうしても必要です。  ここまでは、これまでのページで述べて来た事です。

日本ではクリンチング・ファスナーは、板金屋さん向けの商品といった感があります。  日本のクリンチング・ファスナーは、実質的に家電もしくは工業用電子機器の金属部品にのみ使用されています。  しかし、クリンチング・ファスナーの世界のリーダーであるPEMさんは、 日本では考えられない市場向けのクリンチング・ファスナーを出荷しています。  それは、下記のような分野です。


● 自動車部品

海外では、クリンチング・ファスナー は、家電製品よりも自動車部品として 使用されているケースの方が多いはずです。  PEMさんのホームーページには、 家電製品用のファスナーよりも前に、自動車に使用される事が述べられているからです。  しかし、そこで使われているクリンチング・ファスナーは、日本で家電製品用に販売されている、 スペーサーやナット、スタッドではなく、 自動車用に、独自にデザインされたクリンチング・ファスナーです。  多くの場合は、圧入をより確実に行い、且つ、プッシュアウト力やトルクアウト力を 高めたクリンチング・ファスナーとなっています。  日本でクリンチング・ファスナーを 自動車産業に販売しようとする場合は、 圧入技術とファスナー設計を複合し、 力学点根拠に基づいたクリンチング・ファスナー設計を行う必要がある ものと思われます。



● 超小型ファスナー

もの凄く小さなクリンチング・ファスナーが販売されています。  スマホの中などに使用されるもので、大きさは米粒の半分 くらいです。  高精度の圧入機や、クリンチング・ファスナー自体の高精度の品質管理が 必要である事は想像に容易いですが、 本当なら日本が得意とする技術であるはずなのに、少し残念だと思うのは筆者だけでしょうか?



● プリント基盤に圧入するファスナー

プリント基盤に直接クリンチング・ファスナーを圧入するタイプのものです。  勿論、固着力は小さくなりますが、 外部からの力は加わらない部分で使用されるために 取れなければ良いという程度の固着力で十部である場合が多いようです。  この分野では、クリンチング・ファスナーを連続フィルムに均等な間隔で取り付けた状態で供給し、 自動化を行い易くしたタイプも存在します。 



結束けっそく バンド固定用ファスナー

電子機器機の基盤周辺で難しくなるケーブル配線の固定方法は、 『結束バンド』を用いたものですが、 結束バンド自体を固定する方法も必要となります。  日本では、もっぱらプラスチックの結束バンド固定用パーツを用いますが、 海外では、結束バンド固定用のクリンチング・ファスナーが発売されています。  通常のクリンチング・ファスナーは、丸い下穴に圧入されますが、 角穴にクリンチングされるという点はユニークですね。



● 板と金属を固着するファスナー

2つの金属部品を固着する時に、1つ目の薄い板はバカ穴になっていて、 向こう側の金属をクリンチングするというパターンのファスナーがあります。  また、1つ目の板も同時にクリンチングするものもあります。  さらに、同じ考え方で2枚の同じ厚さの板を同時に固着出来るものもあります。



● 航空機用ファスナー

新素材や複合材料が多用される航空機分野では、まともな圧入は出来ません。  そこで、クリンチング・ファスナーをあらかじめ丸いパーツに圧入し、 それを、モールド部品内に入れ込んだり、接着したりするという工夫がされています。  でも、日本では航空機等は、生産されていなかったので、 この分野が遅れを取るのは仕方がないと思います。


但し、PEMさんの戦略は、国際特許によってマネされる事を防ごうとするものであり、 ほぼ、全部マネしてはいけない事になっているはずです。  また、監視体制もきちんとしていて、少しでも干渉しそうな商品があれば、 直ぐ様指摘して来る体制にありますので、ご注意頂きたいと思います。

これらのバリエーションが生まれて来る過程において、 PEMさんが、圧入技術というものを正しく解釈して来られた事が特に重要な点であろうかと思います。 例えば、自動車関連の部品において、クリンチング・ファスナーを導入するとしましょう。  クリンチング・ファスナーは非常に単純な形ですので、 それ自体の開発能力が既に日本に備わっている事は誰の目にも明らかです。  では何故、遅れを取ったのかと言えば、 クリンチング・ファスナーの圧入技術が備わっていないために、これが大きな差となって、 自動車関連の部品でクリンチング・ファスナーを使う事が出来なかった のです。

具体的に言えば、クリンチング・ファスナーはプレスで圧入できるという 間違った考えが広まってしまった事が災となりました。  その為に、日本では“クリンチング・ファスナーは、取れてしまう事もある”という話になり、 振動も多い自動車関連の部品では使用されなくなったのです。  本当は、現在のクリンチング・ファスナーの市場は、 何倍かの大きさだったはずですし、 自動車部品の設計者も少しは苦労から免れられたのかも知れません。

他の分野に関しては、 航空産業は、日本に無い訳ですから仕方が無いにしても、 それ以外の分野でも、日本では、全て圧入技術で遅れを取った事によって 各分野でのクリンチング・ファスナーの使用範囲が狭まってしまいました。  筆者は、それが悔しいと思います。  日本では、 圧入技術あつにゅうぎじゅつ を軽視したために“ 圧入(insertion) ” と “ かしめ (caulking)” の違いも解っておらず、 そのために、こんな事になってしまったのだと申し上げる他ありません。

海外では、上記のようにクリンチング・ファスナーの用途に多くのバリエーションがある点が、 筆者が“日本はこの分野では遅れている”と考える根拠ですが、 まぁ、遅れているとは言っても、日本がこの分野でも少し本気になれば、 余裕で逆転は可能だと筆者は思っています。  このページを作成する事で、 そういった場合の “ お手伝いが出来ればいいな ” という思いです。




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