e-fastener.jp のトップへ



スタッド、ファスナーなど消耗品関連の情報





システム系商品のご案内


潟ーロテックのご案内






スタッドとファスナーは直販しております


フォームメールでご連絡




サイト内検索

5. クリンチング・ファスナー
最大のトラブル要因


7.トラブル対策2
ステンレスは錆びます


6.トラブル対策1 クリンチング・ファスナーの 剥離はくり 再めっきはやめて

クリンチング・ファスナーは “ ねじ ” の一種です。  一般的に、めっきしてある “ ねじ ” を 剥離はくりさい めっきする時のリスクを考えれば、 剥離再めっきは 『 禁止 』 としたい内容です。

どんなリスクがあるかを下記に提示します。

水素脆性すいそぜいせい

鉄のクリンチング・ファスナーは、 びを防止するために、めっきが施してあります。  通常は、 亜鉛あえん めっきかニッケルめっきです。  これを 鋼板こうはん などに圧入するわけですが、色が違うのが気になるという理由から、 めっき屋に『剥離再めっき』を行う様に指示する事が多い のです。

この 剥離はくり 時に酸や 塩基えんき (アルカリ)を使うと 水素が発生します。 その水素の分子は、非常に小さいので鉄などの分子の中に進入します。  鉄の内部に進入した水素原子は、更に結合が進み、体積が飛躍的に大きくなります。  つまり、鉄の中で、小さな爆発が起こるようなものです。  そして “ ねじ ” には、製品出荷後も応力が作用し続けます。  そうなると鉄の内部でクラックが発生 し、どんどん広がって、 鉄はボロボロになってしまいます。

“ ねじ類 ” にめっきを行う時には、めっき屋は特に用心して、水素脆性対策を行っています。  ベーキングと呼ばれる工程で、製品を100℃〜200℃の高温で最低でも3時間は保持します。 (半日必要だと言うめっき屋さんもいます)  これによって水素が完全に抜けるのです。  めっき屋さんにしてみれば、めっき自体を行う時間よりも、ベーキングを行う時間の方が ずっと長くかかります。 なので、めっきそのものよりも、ベーキングに掛る時間で、 めっき屋さんのキャパシティーが決まると言われています。 

剥離再めっきを行っても、このベーキングをきちんと行うのであれば、 それもよろしいかも知れませんが、板金製品は “ ねじ ” よりもずっと大きいので、 めっき屋さんも、普通はベーキングを行えるような大きな機械を持っていません。  現実的には、多くの剥離再めっきされた板金部品は、乱暴にもベーキング無しで製品に組み込まれています。


水素脆性のリスク

金属製品に水素脆性が発生しているかどうかは、見た目には全く解りません。  これを判別するための発明や特許の類は、近年多くの方法が提案されていますが、 何れの方法も大掛かりな装置や時間が必要であるだけでなく、 製品を破壊しなければ結果を得る事はできません。

一般に、化学反応における再現性は、機械加工などの再現性と比較して、 影響因子の多さから非常に管理が難しくなるという面があります。  設計者の皆さんは、めっきなどの化学反応を、 再現性の高い機械的発想で考えないようにして頂きたく思います。  筆者の経験では、水素脆性は、突如として発生する ものであり、 何千回、何万回大丈夫であったからといって、 次に発生しないとは言えない ものです。 


各都道府県に2〜3人いる、めっきの神様

筆者は、水素脆性に影響因子が多いという事は納得していますが、 化学反応だから機械加工と比較して再現性に乏しいというのは、 違う のではないかと思っています。  水素脆性は、めっき屋さんで何らかのミス(時間管理ミスの可能性大)があった場合に発生するように思うのです。   でも、めっき屋さんは、そのミスを認めたら責任を負わされるという事に恐怖を感じているので、 水素脆性が発生した直接的な原因を、うやむやにしたいと考えがちです。

そんな中で、日本工業会において、めっき技術に詳しい人は実に少ないという現実があります。  きちんと めっき技術を把握している めっき屋さんは、 せいぜい各都道府県に2〜3人しかおらず、 めっき屋さんとは言っても、他の人達は、非常に浅い知識しか持っておられません。  たまに、めっきの神様みたいな人がいて、絶対的な技術的権限を持っている場合が多いようです。

日本の神話に出て来る神様も、 神様だから何の間違いも起こさないという事はありません。  ご存知の通り、古事記に出て来る神様達は、むしろ沢山の間違いを犯し、 その原因となるのは、多くの場合、立場の違いによるものです。

その、めっきの神様は、当然めっき屋さんの側の立場の方です。  めっき屋が理不尽な責任を負わされる事に普段から不満を持っており、 結果的に、本当の事は言わず、事実とは異なる発生原因を捏造してしまう 事も多いのではないでしょうか?

そのような流れになってしまうのは、 設計技術者の方の、慢性的な めっきに関する勉強不足が原因ですから、 設計技術者の方は、めっきに関する知識を深めてゆく必要があります。  とは言っても、機械系と化学系では、同じ理系でも、かなりの違いがあって、 筆者自身も機械系です。 化学の知識と言えば周期表とイオン化傾向くらいしか覚えておりません。  機械系の皆さんに、そういった方面の勉強まですべきだというのが、 あくまで理想論に過ぎないという事も解っています。  ですが、筆者も含めて、やはり興味くらいは持たないと、 めっきの神様の御神託に翻弄される 事になってしまうのは間違いのない事です。

クリンチング・ファスナーを使った板金部品のうち、最低でも20%は、 剥離再めっきを行っています。  具体的な例を挙げますと、 デスクトップ・パソコンのボディの中で使われている クリンチング・ファスナーで 水素脆性が発生した場合、概ね半年以内に“パン”という音と共に、 クリンチング・ファスナーが割れて飛びます。 基盤内部をショートさせる恐れもありますし、  運悪く破片が電源ユニットに入ったりすれば、出火の恐れもあります。  なお、普通家電製品には、そういった事が発生しても出火しないような対策が別途施してありますが。。。

剥離はくり だけでは無く、 母材ぼざい も確実に溶ける

誰でも少し考えれば解る事だと思いますが、 めっきだけをきっちり剥離する事など、出来るはずがありません。  めっきが100%剥離されている場合には、確実に 母材ぼざい 表面も溶けています。  つまり、製品全体が、痩せ細ってしまいます。  “ねじ”の世界では、めっき剥離を行った後、ねじゲージを通したら、 通らないはずのゲージがスカスカに通ってしまう事も、しょっちゅう発生しています。

『 剥離再めっき 』 をしたら均一で美しくなるという理由から、 生産工程の中に 『 剥離再めっき 』 を入れるというのは、 設計者自身が不具合を起こそうとしているようなもの です。
“ いつも大丈夫だから ” というのは、普段から大丈夫では無い場合の方が多いはず。  よほど管理がしっかりしためっき屋さんならば、あり得ない話ではありませんが、 かなり危険な大博打状態である事は間違いありません。

関連情報;
46.クリンチング・ファスナーが破壊した場合

クリンチング・ファスナー普及委員会   CF普及委員会にMailを送る