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26.クリンチング・ファスナーの硬度

28.クリンチング・ファスナー圧入アニメーション

27.合理的なクリンチング・ファスナー設計

既成のクリンチング・ファスナーを使う事が 必ずしもベストの選択とは言えない場合があります。 日本のメーカーが設計する商品は、過剰品質と思われる場合が、そもそも多過ぎではないでしょうか?

左図を見て下さい。  海外メーカーでは下記のようなクリンチング・ファスナーが家電製品で使用されている場合があります。  めねじとして使われるのに、ねじが切ってありません。  おねじが、いわゆる“タッピングねじ”になっていて、ねじを切りながら、このスペーサーに 入ってゆくのです。  このクリンチング・ファスナーは、 焼入れも行わない鉄製品(錆び対策として、めっきは行う)で、おまけにねじ無しですので 生産コストは、極めて安価になります。

これには、板がアルミであるという前提条件が必要ですが、 このような設計を行えば、多くの不具合が入り込む余地がありません。  通常のクリンチング・ファスナーを使って品質の良いねじを使えば、 何度も部品を着脱出来ますが、現代の家電製品にそんな必要があるでしょうか? 故障したら、直ぐ丸ごと交換するのでは?

このような、特殊なクリンチング・ファスナーは、 所要量が少ないのであれば、お勧め出来ませんが、 金額で100万円以上の受注であればファスナー・メーカーも基本的には喜ぶはずです。

設計の参考にされては如何でしょうか?



過剰品質とねじゲージ

ねじの作り方には、大別すると2種類の作り方があります。  それは、 切削せっさく ねじと 転造てんぞう ねじです。  どちらが優れているのかと言えば、概ね転造ねじという事になるでしょう。  同じ形に作られていても、転造ねじは 塑性加工製品そせいかこうせいひん なので、 強度きょうど 的に優れたものとなります。 また、切削と異なり 切子きりこ も出ず材料がムダにならず、生産性も高いので安価になります。

ねじの検査の中で一番大変なのが、ねじゲージ検査です。  製品よりも大きなねじと小さなねじの2種類を用意して、 大きなねじは、通るけど、小さなねじは通らないという事を検査します。  勿論、 ねじには ねじのゲージ。 雌ねじには雄ねじのゲージがあります。

ねじ、を切削で作った時(切削加工)は、 ねじゲージ検査を行うと、切子(切削時に発生するゴミ)がねじ山の中に付着する事で、 通るはずのねじゲージが通らないという事が発生し易くなります。  実は、この不具合が発生すると、とても始末が悪いのです。  というのは、一度、ねじゲージが通らないという話になっても、 もう一度、ねじゲージを通そうとすると、付着した切子が取れてしまって、 再現出来ないといった事が発生するからです。  このような面からも、ねじは転造ねじの方が良いという事になります。

しかし、ねじ自体が高精度であるかどうかを論ずれば、 逆に切削ねじの方が、優れているという面も否めません。  特に、ねじ山の高さを高精度(誤差0.01mm)にせねばならないという基準を設けられると、 実質的には、切削ねじでしか生産出来ない事になります。  ある、有名な大手家電メーカーさんでは、小さなねじでも、 全部、ねじ山の高さを高精度にするという社内基準があります。  筆者は、これにどんな意味があるのかが良く解りません。  そのメーカーさんの社内基準だけが、昔のまま改定されていない可能性が高いようです。  しかし、この事は下請け企業からしてみれば、 意味も無く、ねじ類が大幅にコスト高となる残念な社内基準となっていて、ねじ屋の間では、 “ これじゃぁ、家電製品がコストで海外に負けるのは当り前だね ” という話になっています。

ねじゲージ検査については、他に述べておきたい事があります。  それは、微妙な手先の感覚に頼る部分が大きいために、 人間の手でしか検査出来ない という事です。  そのために、抜き取り検査しか出来ないので、 最終顧客で、数個の抜き取りねじゲージ検査を行っても、 たまたま “ 当たりくじ ” を引いてしまうと不具合品が見つかるという場合があります。

ねじメーカーにおいては、 結局、各ロットで50個レベルの抜き取りの ねじゲージ検査を行うだけでも、 1時間程度の時間が掛ってしまうので、人件費を考えると、 この50個程度の抜き取り数が限界となってしまうのです。  実は、中間業者や板金屋さんでも50個もの抜き取りは不可能で、 多くの場合は全く行っていないか、 仮にやっていても、せいぜい数個です。

ねじメーカーでは、抜き取り個数を顧客よりも多くする事だけしか出来ないので、 1個の、ねじゲージ不具合も発生させないという事は、 何処のねじメーカーでも出来ていない というのが、 この世界の 裏の常識 です。

しかし、ねじゲージ検査や ねじ山の高さの検査で、不具合品と識別されるような ねじであっても、 かなりヒドい場合を除いて、実用的に何の問題も無く使用出来ます。  筆者は、何のために時間を掛けて人件費も掛けて、 ねじゲージ検査をやっているのか、解らなくなります。

日本の工業製品は、過剰品質で、 コストが安い製品を作る技術は海外に劣っている と言われる事があります。  日本人には、ねじゲージや ねじ検査に、意味も無いこだわりを持つ方が多いために、 多くの工業製品におけるコストアップの、 代表的な原因 となっています。

また、この話で特に注意して頂きたいのは、このコストアップは、大企業側に属する皆さんからは、 見えないという点です。 全て、下請け企業が、この分のコストアップを吸収しています。  大企業は、実質的には意味の無い、下請け企業にとってはコストアップとなるだけの、 品質基準を提示しておいて “ 1つの不具合も認めない! ” と言っているだけなのです。  今から、数年経って、 中小零細企業の数が少なくなってしまってから気付いても遅いはずです。



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