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43.“プレスする”と書いてあるカタログ

45.海外のクリンチング製品

44.設計者に知ってほしい板金の原価計算

板金屋さんの中で板金製品の詳細な原価計算を行っておられる会社は、 極めて少ないと思います。 これこそ経験と勘。  他の製品とのバランスも考えるでしょうが、 社長の一存で決まると言っても過言では無いでしょう。 

ですが、会社が潰れる一番の原因は “ 見積を間違える事 ” だと言われる事がよくあります。  そんな中で、設計者の方が板金製品の 原価げんか について、 ただ安ければ良いという考えだけで板金屋さんに接していると、 しまいには板金屋さんを潰してしまう事にもなりかねません。

“働いても働いても儲からない”
“何年も社員の給料を上げていない”
という台詞が聞こえるようになった場合は、 設計者の皆さんは、自分達の都合だけを考えてはいけない状況であると考えるべきです。 

“そんな事言ったって、どうしようもないもん”

というのは、言い訳になってしまうでしょう。  一般的には、設計者の方と板金屋さんが一緒になって真剣に考えれば、 板金屋さんには手間を省く事が出来る改善ネタが沢山あります。  手間が省けるという事は、原価が安くなるという事であり、 その原価低減の分は、設計者側と板金屋側のどちらかの利益に繋がります。  これまで、そういった利益は、 設計者側(川下企業)のみが取り続けて来たはずです。

このホームページでは多くの改善ネタを述べて来ましたが、例えば、 クリンチング・ファスナーの長さを6,8,10mmに統一する事を行っただけでも、 板金屋さんには、大きなメリットがあると思います。  板金屋さんは
“ もうちょっと設計者が気を効かせてくれれば、いいのに ”
と思う事が、それ以外にも沢山あります。

大企業の事情

しかし、最近では、特に大企業において社員のモラルの低下が見られます。  それは、政府の取った政策に原因があります。  労働争議ろうどうそうぎ を避けるために、また福祉政策に対応するために、 大企業は多くの社員優遇策を取らねばなりませんでした。  しかし、これに行き過ぎが見られます。  『限度を超えた弱者救済』というヤツです。  一旦就職してしまえば、労働意欲が無くなっても解雇される可能性は極めて少なく、 これまでの時代であれば、とうに首になるはずの社員が首にならないで、 半分も出社していないのに給料だけはもらい続ける事が出来たりします。  しかし、そのために他の社員達まで、労働意欲が無くなってしまうという状況が 慢性化してしまっています。

大企業側から見れば、 自分達の組織は腐ってしまったが、中小零細はまだ腐ってはいないのでは? と考える人も多いのが実情です。  筆者の考えでは、確かに中小零細は儲かってはいないけれど、社員の労働意欲は、 変化していないように思います。  従って、両社を比較すれば大企業の方がヒドイ状態かも知れません。

このホームページを真剣に見て頂いている方は、 そのようなやる気を失いかけた組織の中で、リーダー的存在か、 もしくは、近いうちにリーダーになるような方である可能性が高いはずです。
このホームページは、そのような困難な立場にある設計者の皆さんに、 クリンチング・ファスナーというテーマを中心に、 改善を目的として、現場の事情調査のお手伝いやヒントになる事を目指しています。


板金部品の正しい原価計算

板金部品の 製造原価せいぞうげんか の計算方法の考え方は極めて単純です。  原材料費と各加工工程で発生した費用を足してゆくだけです。  右の様な表を作って何時間もかければ、確かに詳細な製造原価計算が可能です。  しかし、考え方は単純ですが、このデータを詳細に作るとなると、莫大な情報量となり、 ほぼ全ての板金屋さんではギブアップです。  ちなみに右の表は、この種の表のダイジェスト版です。  実際は縦に3倍、横にも5倍くらいの表になってA3はおろかA2レベルの面積になってしまいます。  筆者は、こんな計算をするのは、よほどの板金屋さんでも無理だと思います。

設計者の方も板金加工の原価の実態がよく解っていない場合が多いようです。  これを明確にする事が出来れば、板金屋さんは、 “ 加工の手間が増えたのに製品の販売価格は同じ ” という何度も繰り返されてきた悲劇から逃れる事ができるのかも知れません。

実は、いつも発生しているこの悲劇の原因について、 筆者には心当たりがあります。  板金部品の 原価計算げんかけいさん を行う時に、上記のような 積算せきさん 方式で実行しようとするから挫折してしまう のです。 

そこで筆者は1つの提案をしたく思います。
実は、 積算方式とは逆の論理で原価計算を行う方法があります。  それは、言わば『 積出せきしゅつ 方式(仮名) 』 と言うもので、 この考え方は、板金屋の社長が板金加工の見積を行う時に、 頭の中で考える内容に類似した計算方法です。

つまり、
 “うちの工場の 維持費いじひ は、1日当たり給与の支払いも含めて100万円”
 “この部品は1日当たり1000個作れる”
 “なので、部品単価は1000円 設けも必要だから1100円だね”
といった計算を、社長は頭の中で行っています。
つまり、足し算ではなく割り算を行って見積っているわけです。  この方式をもう少し高度に行なおうという考えが 『 積出方式(仮名) 』 です。 

もちろん、コンピュータを用いれば、 これをもっと高度に実行し易くなりますが、 積算方式と比較すると、圧倒的に少ない入力回数で目的を達成する事が出来ます。

板金屋は計算に弱いので、自分の仕事の原価も把握していない?

“板金屋は計算に弱いので、自分の仕事の原価も把握していない” というのは違います。  筆者は実際にこれに挑戦した事があります。  これにトライしてみれば誰でも解りますが、 システム構築は簡単なのですが、 実際にはデータを入力する事が不可能な量になってしまいます。  また、見積段階においては加工実績のデータが無いので、 各加工工程の担当者に“これを加工するとしたら何分掛りますか?”と 聞いて回る事にもなります。  さらに予測の範囲に過ぎませんので、データの信頼性にも大きな問題が残ります。

そんな中で、何処の板金屋の社長でも、 一刀両断にトータル製造原価を即座に言い当ててしまいます。  今や、これが出来ない会社は生き残っていませんので、 社長の原価計算が正しいという点に疑いはありません。  ですが、そこで必要な数少ないデータは、会社の基幹情報であるために、 内容は基本的に秘密にせねばなりません。  その為に、板金屋さんでは社長だけしか原価計算ができない 状況になっているわけです。 しかし、社長依存型の企業経営方針は、 長期的に見て、あまり好ましいものでは無いという面もありますね。


設計者の方が、板金屋さんの社長に、 このマクロ的な経営に関わる情報を少し開示してもらう よう求めれば 多くの問題が解決し、さらに多くの改善が生まれて来ます。


板金屋さんは何故バリ取り代を支払ってもらえないのか?

クリンチング・ファスナーの話からは少し外れますが、 上記の内容が大きな影響を及ぼしている典型例はバリ取り代です。
バリ取りは、ここ数年来の多くの板金屋さんが抱えた問題です。  PL法等の影響で、バリ取りを行う様に図面に記載された場合、 ハンドグラインダー等で危険な作業を行なうには、その量が多くなり過ぎています。  そこで、板金屋の社長は、バリ取り機(下画像)を設備投資したいと考えるようになります。  ここで、ほとんどの場合、 設計者の方は、バリ取りを行う様に図面に記載したにも関わらず、 製造原価が上がる事を無視 しておられます。

そんな中で、筆者は、金属製品の価格に関して、 バリ取りやR面取りを行う分の費用が値上がりしたというケースに遭遇した事は一度もありません。  板金屋さんは、何時もバリ取りやR面取りを無料で行なっていますが、 製造原価は確実にUPしているので、これは、とても変な話です。  筆者は、この件に関しては、どうしても設計者よりも板金屋さんの立場になって考えてしまいます。  その理不尽なシナリオの例を下記に示します。(あくまで例です)


設計者の方は、板金屋の社長がバリ取りの原価の事を言うと
“じゃぁ、 原価積算げんかせきさん データを提出して下さい”
と言います。
しかし、社長は困ってしまいます。
“そんな面倒な事できないよ”
と考える事になり、 普通、話はここで頓挫し、バリ取りは無料で行う事になってしまいます。
ですが、
筆者に言わせれば、この会話は、1つの常識が欠如 しています。
それは
   『 ほとんどの板金屋さんは板金製品における積算方式の製造原価計算が出来ない 』
という事です。
これを理解していないために、設計者の方は、
“板金屋は計算に弱いので、自分の仕事の原価も把握していない”
と考えてしまいますし、 板金屋の社長は
“自分達だけが能力不足なのかな?”
と考えてしまいます。
設計者の方は『製造原価計算』は、 板金屋さん側がやるものだと言うでしょう。 これは正論です。  しかし、同時に計算と聞くと怖気づく板金屋さんの心理も計算しているはず。 
“じゃぁ、こういった表でも利用して分析してはどうですか?”
などと言いながら、細かい数値を沢山書き込まねばならない大きなシートを見せたりする場合もあるでしょう。  設計者の方の多くは、心の中で、
“どうせ提出出来ないのだから、これを利用してコストUPを潰そう”
と考えているはずです。

『製造原価積算計算』は、あまりにも手間の掛る仕事。  出来ない事を要求して、出来ない事をネタに高い年貢を取り立てるというパターンです。  このシナリオには、時代劇でお馴染みの悪代官がいます。

そもそも、本来

製造原価計算は積算方式でなくてもかまわない

のです。 原価計算は積算方式でないとダメだというのは設計者の思い込み です。
板金屋の社長さんは、例えば、このように言うべきです。

“一般に、板金製品の積算方式の原価データを作成するのは、 凄く難しいので何処の板金屋でも困っているのだそうです。(これを堂々と言って下さい)
ですが、バリ取り機の維持費は、トータルで月額35万円なので、これを償却せねばなりません。  バリ取りを行えば、それだけ原価高になる事は明らかなのですから、 その分の費用を納入品に対して上乗せさせて頂けないと、その分、赤字になります。 これを無視されては困ります。”


特に、積算方式に誘導されないよう、気を配って下さい。

“バリ取り機の維持費は月額35万円”の内訳は、設備投資費と光熱費と人件費です。  出来れば、計算書を用意すれば良いと思いますが、 それは、バリ取り機の納入業者等が、しっかりした試算表を極めて丁寧に作成してくれます。  なお、この話では、もともとバリ取りは行っていなかったものと仮定した話です。  現実には、様々なパターンがありますので、板金屋さんには、この考え方を応用して対応して頂きたく思います。

その後、設計者の方は、 普通は、バリ取りの箇所を減らし板金屋さんの負荷を減らそうとされるべきです。  もしくは、 バリ取りから逃れられないと判断した場合は、 費用を製品代金に上乗せする義務を少なからず感じて頂く必要があるでしょう。  また、設計者の方は、バリ取り分の代金を無料に出来たとしても、 全部の設備費用と人件費と投資リスクを板金屋さんに負担させたのだから、 いくらなんでも感謝状の1枚くらいは用意しないと仕事関係にヒビが入ります。

勿論、上記の話の場合、話の顛末がどのように転んだとしても、 設計者の方はバリ取り機の導入は常に促進しなければなりません。  さもなければ、人件費が爆発的に膨らみますので、製品代金はもっと跳ね上がってしまいます。

商法の基本である『対等な取引』とは、 設計者の方は『バリ無き事』と図面に記載したら、 バリ取り代の分の生産コストがUPする事を認めるという事です。  この考え方は、商売に『筋を通す』という事です。  上記の話は、短期的には設計者の皆さんにとってマイナスかも知れませんが、 長期的に見ればプラスになる話です。 

ほとんどの設計者の皆さんは、この筋を通そうとしておられません。  筆者は、それが上司からの指示なので1人の設計者の意見など通せないからだという事を知っています。  でも、上司にイヤな顔をされても、最低でも一言くらいは、自分の意見を言うべきです。 この積み重ねこそが大きい のです。  “私は、板金屋さんに対して、筋を通すのが長い目で見て本当の姿ではないかと思っています。 ” といった感じでしょうか?  筆者は、この考え方が間違っていないという事に強い自信があります。  自分の身を犠牲にしても、筋を通す事が美しいとするのが日本の心。  大企業や川下企業の論理を用いて『対等な取引』を無視する事は、 長い目で見て、決して良い結果に結びつかないという事を日本の歴史が何度も証明しています。 


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