かしめるではなく圧入;“かしめ(カシメ)る”とは?


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かしめ(カシメ)るではなく圧入;“かしめる”とは?

かしめる “ かしめ(カシメ)る ” という動詞の語源はネット上で探りましたが出てきませんでした。 一般にリベットは、左図のように、リベット自体の頭を潰す 事で2枚の板を締付けます。 明治以前の日本国内の金属製品の製造工程においても同様の工法があったはず ですが、リベットは、日本では特に明治時代から複数の金属製品を締付けるために 多用され始めた工法です。
零戦や戦艦ヤマトにも、リベット工法は多用されていました。 特に零戦では、空気抵抗を減らすためにリベットの頭を削っていたという話も聞いた事があります。

かしめるリベット

ここで余談ですが、“かしめ(カシメ)る”という言葉の由来について

一般的に “ かしめ(カシメ)る ” には、該当する漢字がありませんが 中国語では、斂縫(剣縫)と書くようです。  読みはツルギヌイかケンホウか筆者には解りませんが、 どちらにしても “ かしめる ” とは全く異なる読み方になります。 その事から “ かしめる ” は、少なくとも中国から来た言葉ではないはずです。

“ かしめ(カシメ)る ” に相当する加工方法は、かなり昔から存在したはずですから、 江戸時代、もしくは、それ以前から “ かしめる ” という言葉も 存在していたように思います。 それにしても “ かしめる ” に宛字の漢字すら無いというのは変な感じです。
対応する漢字が無く、私達が頻繁に使っている言葉の代表格は “ びっくり ” でしょう。  この言葉の由来は、第一次世界大戦時に、 日本の捕虜になったドイツ人が発した “ ウイックリン ” という言葉から来ているのだそうです。 明治以前の日本人は、“ びっくりしたなぁ ” などとは喋っていなかった事になりますね。 この例では、中国以外の国からの外来語は、 漢字が無いまま、現代に至っているケースがある という事を示しています。 しかし、筆者にはどうしても “ かしめる ” という言葉は、 『それぞれの部位を締結する』と言う意味を含んでいるように思えます。 加工方法自体と、これほどマッチした単語である事は偶然とは思えず、 “ かしめる ” は、日本で発生した言葉のように思われてなりません。

筆者の考えで、あえて漢字を当てはめるとすれば、 “箇締める” という漢字がマッチしそうに思ったりもします。 でも「箇」という漢字には、他の漢字と違った扱いがなされた歴史があります。 「箇」は、戦後「ケ」と書く事も多くなって来た(1ヶ月など)はずです。 そうなると “ 箇締める ” を “ ケ締める ” と書く人達だって必然的に現れたはず。 ところが、実際に “ 箇締める ” や “ ケ締める ” を使って文章などを作ってみると、 ある事に気付きます。 単語の頭が「箇」つまり物の単位であるために、 読み違いが発生し易くて非常に都合が悪い。 加工を知らない大半の人達は必ず読み違えて、 “ 何個、締めるのかを書いていない ” という会話になってしまう。 書いた側の人は “ 箇締める ” や “ ケ締める ” と書くと、素人の人達に、常に“ 違ってんじゃないの? ” と言われてしまうので、次第に、ひらがなだけしか使わなくなった のではないでしょうか?  筆者は“箇締める”という漢字が昔あったけど、 このような理由から、ひらがな表記しか無くなり、 今では漢字があった事も忘れてしまったのではないか?と思うのですが、この仮説、如何でしょうか?

クリンチング・ファスナー自体は変形しない

リベットは、前に述べた通り、それ自体が変形するのですが、 クリンチング・ファスナーは変形はしません。 下記は、クリンチング・ファスナー(ナット)が 圧入あつにゅう される時のイメージ図です。
かしめではなく圧入 インサーション・マシンによりクリンチング・ファスナーのヘッドが 加圧かあつ されると(1)、 母材ぼざい ( 鋼板こうはん )はクリンチング・ファスナーのローレット部分により、 圧縮応力あっしゅくおうりょく を受け(2)、クリンチング・ファスナーの みぞ 部分に すえ込み変形が始まります。(3)
クリンチング・ファスナーは、ローレット部分によって圧縮される体積と、 押し出された、母材が進入する溝の体積が、一致するように設計されていて、 クリンチング・ファスナーは、 高強度こうきょうど で母材に固着します。(4)

この図からも解るように、 クリンチング・ファスナーを圧入する時に、変形するのは母材(鋼板) です。


参照画像;
クリンチング・スペーサー圧入イメージ

塑性加工学における表現

これまでに、述べて来たように、 “かしめる”と呼ばれる加工では、 塑性変形そせいへんけい するのはリベットのヘッドです。  従って、リベットヘッド の ヘッディング を行っています。
この “ かしめる ” という言葉を、クリンチング・ファスナーに適用すべきではありません。 何故ならば、クリンチング・ファスナーを板に取り付ける時に行われる加工は、 板材 のすえ込み だからです。  両者は、 被加工材ひかこうざい がリベットか、板か という点で決定的に違います。  例えば、力学的な解析を加えようとした場合にも、両者のシミュレーション方法には、 大きな違いが存在します。 そんな両者を同じ加工名称で呼ぶのは、あまりにも乱暴です。

正しい表現

クリンチング・ファスナー発祥の地アメリカでは、 クリンチング・ファスナーを板に取り付ける加工の事を 『 コーキング(=かしめ(カシメ)) 』 とは呼んでおらず 『 インサーション 』 と呼んでいます。
これを日本語にする場合 『 圧入あつにゅう 』という言葉が適切かと思われますので、 このホームページでは、
クリンチング・ファスナーを 圧入あつにゅう する
という表現を用いる事とさせて頂きます。
関連ページ ;
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